太田隆次の人事講座

言葉の由来、語源、成り立ちを知ると、本当の意味が分かります。 [人事の教養]

投稿日時:2011/12/15(木) 09:00rss


 人事で使う日本語には中国の言葉や英語の翻訳が多くあります。
 早い話が人事という言葉も古代中国の言葉です。
 例として、個性、多様化、キャリア、考課の元々の意味をたどりましょう。

 1.日常の使われ方
 「個性」は、次のように使われています。
  ・個性を生かしたキャリアを選択すべきである。
  ・あの人は個性の強い人である。
 「多様化」は、次のように使われています。
  ・人々のライフスタイルが多様化してきた。
  ・多様化した労働価値観に合わせた制度に作り直す。
 「キャリア」は、次のように使われています。
  ・キャリアウーマンとは、専門的職業についている女性をいう。
  ・キャリア組とは上級職国家公務員試験に合格している国家公務員をいう。
 「考課」は、次のように使われています。
  ・人事考課の結果によって処遇を決める。
  ・人事考課は難しい。

 2.由来、語源をたどると本当の意味が分かります。
 個性
  個性は英語ではIndividualityといい、個人はIndividualです。
  Divideは分ける、英語で最初にくるInはnot ですから、
  個性、個人の英語の意味は「これ以上分けられない」ことです。
  だから個性も個人も最後まで守るべきものです。

 多様化
  英語の diversityの日本語訳ですが、元々のdiverse,
  divert は「よける、本流から分かれて違うものになる」で、
  要するに、「異なる」「違うのだ」という意味です。
  英語のDiversityは異なる人、異なるものが集まっているという意味です。
  ですからライフスタイルや価値観の多様化は「異なるライフスタイル、
  違う価値観が集まっているのは当然だ」と認めることから議論が始まります。

 キャリア
  キャリアは英語で、career と書きますが、car(自動車), carriage(車)などと同じ語源で、
  「一生を通じて道を走るように続ける仕事」のことが原義です。
  ですから、履歴書によくあるように経験した小さな仕事を連ねて書いたような経歴を
  「これが私のキャリアです」とは言えません。
  「これが私のキャリア」といえるキャリアを早く築きたいものですね。

 考課
  考課は奈良時代の律令の「考課令」が当時10万人いたといわれる役人の考課手続きを定めたのが、最初です。
  これは中国の「考仕令」と「課試令」の二本建ての法律を、一本化して「考課令」として、
  日本人が作った法律の名称といわれています。
  もう少し、詳しく説明すると、中国の「考仕令」は文字通り「仕えた有り様、勤務を評価」し、
  「課試令」と登用試験を課した結果を評価する能力開発で、別々に運営されていました。
  今の人事部と人材開発部のようなものです。
  しかし、奈良時代の日本人は、この両者は車の両輪の関係にあり、
  考仕令と課試令は一体となるべきと考えたのです。
  現代でも人事考課の目的は勤務評価だけでなく能力開発や配置にもあると定義されていますが、
  先人の先見性に脱帽です。
  なお、「考」は人がうずくまってじっと考えている、評価している姿を、
  「課」は木になる果物のようにまとまったあることを命じる、義務付けること(課税、課長のように)をあらわしています。